D2C分析

D2C企業が撤退するときに準備すること

D2C企業は事業を立ち上げが増えていますが、同時に事業を畳む事業者も増えてきています。事業の立ち上げと同じくらい事業のたたみ方は重要になってきています。

事業のたたみ方を間違えると、その後事業をはじめるうえで障害になることもありますので気をつけましょう。

ポジティブな面ばかり目に行きがちですが事業を撤退する際にも気をつける点が多いので気をつけましょう。

事業撤退の判断

事業撤退においては多くの場合、事前に判断基準を設定している場合がほとんどです。社長が事業主として1人でやっている場合は、それなりの赤字を掘ってもお金が続く限りはやり続ける会社が多いでしょう。

一方、新規事業で会社のお金を使ってやる場合は、役員や株主の会議で判断ラインを設定していくのでKPIを達成することに必死でしょう。

事業撤退においてもいくつかのフェーズがあります。今回は発売後のフェーズに限定して、お話します。
下記の4つにまず分類します。

  1. 初回ロットでの撤退
  2. LTV低迷による撤退
  3. CPAの高騰による撤退
  4. 黒字だが事業が伸びず売却撤退

1)初回ロットでの撤退

小規模なものを含めるとD2Cの99%がここで終わってしまいます。

OEMメーカーに行くと2回目の発注がかかる事業者は1回目の発注した事業者の1%程度と言っている会社もあるくらい初回ロットでの撤退は多いです。

2回目以降の発注は最初のOEMと変更することもなくはないですが、基本的に2回目以降も同じOEMメーカーに依頼することが普通ですので同じOEMに頼みにこないということは2回目以降の発注が来ていないと見てよいでしょう。

初回ロットでの撤退の場合は、500~3000個程度作り、初動の売りを見てあまり売れなかった場合は、次回の生産をしないパターンが多いです。それなりに事業が大きい企業になると機械的にここは判断します。

初回ロットでの撤退の場合は、コンセプトが消費者に刺さらなかったため、広告費をこれ以上かけるに値しないと判断するパターンが多いです。

一方、その会社にとってはじめてのプロダクトである場合はコンセプトというよりも売り方を知らないため売れずに終わるパターンが多いように思います。

また、メディア事業を展開していたり、主力の事業とは異なるD2Cカテゴリに進出したりした場合はカテゴリが違うこともあり、ノウハウが活かせず撤退パターンがあります。

見えないところでの撤退が多いので撤退ブランドを一度調べてみるといいでしょう。それでは2)以降についても述べていきます。

2)LTV低迷による撤退

LTVは定期購入などの際に設計しますが、予測よりも解約率が高いパターンがあります。

もちろん解約率も想定をしていきますが事前の想定よりも悪いパターンはあります。

特に新しいカテゴリの場合、効果などに疑問を抱いていた人がすぐに解約をはじめるため市場として定着していない場合は要注意です。

一瞬だけ話題になってもその後売れないということは珍しくありません。

すでに市場のあるサプリや、化粧水などでは、LTVが予想より低くなることはあまりありませんし、 CPA がのほうが問題になってきます。

新カテゴリのほうがLTVがうまくいかない場合、もしくは、LTVを楽観的に見すぎて高く設定していた場合は注意してください。

3)CPAの高騰による撤退

CPAの高騰ですが、最初はチャネルをうまくハックして安くとれていたり、プロモーションがあたっていたりしてうまくいく事業を見ますがその後、獲得コストがあがってしまい撤退となるブランドも数多くあります。

競合や広告プラットフォームなどによって影響を受けますので注意していきましょう。

4)黒字だが事業が伸びず売却撤退

黒字だが想定よりも儲からないということで撤退する企業も多いです。特に既存事業はあるが新規事業としてD2Cに参入したら思ったより儲からなかったし、リソースがかかってしまうということで撤退する企業は多くあります。

どちらかといえばD2Cを儲けるためのツールとして見てしまっている企業に多いです。

実際にD2Cに取り組まれている企業であるとわかるかと思いますが、思った以上に時間もかかり根気が必要です。

社長や事業責任者がどこまでやりきれるかにかかっているので、黒字でも早期撤退するというのは悪いことではありません。

シナジーがある新規事業に注力したほうがよいでしょう。

事業撤退の際はメンツを大事に

事業撤退の際は、取引先などがいますので取引先のメンツをつぶさないようにしましょう。アフィリエイトを使っていた場合はASP、小売で販売していた場合は卸に対して仁義をきりましょう。

当たり前のことなのですが撤退したことだけを事後報告する会社が意外と多いです。特に古い業態である卸はこうした人間関係を大事にしますので注意しましょう。

以前ある卸を怒らせてしまった事業者はその後その卸と取引ができなくなり売上が一気に下がったというケースがあります。

事業のキーとなる外部の会社に対して、メンツをつぶすようなことはやめるようにしてください。

撤退が決まったらすぐに連絡をしましょう。

事業撤退はお世話になった人に連絡を

インフルエンサーなどにも協力してもらうことがあると思いますが、インフルエンサーは売れない商品を売るために協力してくれているわけですが売れずに終わってしまった商品をPRすることを嫌がる方もいます。

インフルエンサーに仕事を依頼することが今後もあるので、インフルエンサーをはじめPRに協力してくれた人にも挨拶をしておきましょう。

売れないというイメージをもたせてしまうのもよくないですが、礼儀がないと思われるのはもっと損なことです。

法人売却か事業売却かの出口を選ぶ

撤退の場合は会社ごと売るか、事業売却か選べるのは知っている方も多いでしょう。

M&Aの解説をするサイトではないので、M&Aの話はしませんが、売り手にとって法人売却が一番良い選択肢です。なぜなら裏面表記や運営会社が変わらないため消費者に不信感を与えないからです。

運営会社が変わることは消費者の不安をあおり、定期通販の場合は心配するお客様も意外と多いのです。

当然、法人ごと株式売却となりますと、売却の時間も長くなり、審査も厳しくなります。

M&Aにおけるメリット・デメリットは割愛しますが、容器の裏側法面表記や顧客対応先の企業が変わらないというのは消費者にとってメリットですので、法人売却ができる場合はそうしたほうがよいでしょう。

株主にとっても法人ごと株式売却のほうが税務上のメリットがあることはいうまでもありません。

事業承継は丁寧に行なう

事業承継の際に相手企業がうまく引き継げるかはD2Cに限らず大きな問題です。D2Cは中間流通がない分、事業の運営会社が変わってしまうと大きな影響があります。

そのためD2Cは小売りを介して販売する事業以上に丁寧に引き継ぎをしましょう。細かい顧客対応のレギュレーションや、売り方、また許容する訴求ラインまでを細かく伝えましょう。

これまでのやり方を全部伝えた上で取捨選択をするのは事業を買収した会社が判断することです。これまでのナレッジはすべて共有しましょう。

一旦売却の話はここでおわります。

定期顧客を抱えている場合は次の事業に生きる

さて、定期顧客を抱えている場合は、事業を撤退しても撤退する際に次の商品の案内ができるのでクロスセルにつながります。

定期で何回も買っていただいている顧客は、他の商品の案内をそこまで嫌がりませんので他の商品の告知をしていきましょう。

特に同一カテゴリや同じ悩みの解決であればクロスセルの割合が高くなります。例えば育毛サプリを売っている会社が、育毛シャンプーや育毛剤を売るのが該当しましょう。

定期顧客に対してのケアが重要

撤退の際は既存顧客を不安にさせないようにしましょう。既存顧客の不信感を抱くと会社への不信感になり口コミを書かれることもありますので気をつけてください。

発売終了時こそ会社の本性が見えてしまいますので顧客に迷惑を書けないように気をつけてください。

連絡をして、必要によっては電話でコミュニケーションをとるようにしましょう。

在庫の処分はそれなりにお金がかかる

さて在庫が余ってしまった場合は、処理にお金がかかることは承知しておいてください。

昨今はほとんどありませんが不法投棄をしてしまうと罰せられますので自治体や法律にのっとって処分してください。

このあたりは倉庫に相談するとよいでしょう。

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