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Amazon社員インタビュー
D2Cブームにのって、巨大ECプラットフォームである”Amazon(アマゾン)”に出品者として参入する企業が増えてきました。
EC事業者やメーカーなどのAmazon(アマゾン)進出支援をされている現役Amazon(アマゾン)社員の方にインタビューさせていただきました。
大手企業から中小企業の進出支援まで幅広い経験があるため、ここでしか聞けない貴重な情報に多く答えていただきました。
D2C領域でAmazon(アマゾン)への進出を希望している方は必見です。すでにビジネスをしていてこれからAmazon(アマゾン)領域に進出したい方、新規に商品開発をしてAmazon(アマゾン)でビジネスをはじめたい方にとっては参考になる最新トレンドが書かれてあります。
楽天と比較したAmazonの特徴
-Amazonというプラットフォームの特徴を教えてもらえますか。
商品を購入するユーザーが多いのが特徴です。Amazon(アマゾン)は巨大な経済圏となっており、世界、日本どちらもEC(E-commerce)の世界におけるリーディングカンパニーとなっています。
有料であるAmazon プライムカスタマーが圧倒的に多いのも特徴です。グローバルでは2億人がAmazonプライムカスタマーです。
加えて、それなりの規模になっているにも関わらず、成長をしているマーケットであるのがAmazonです。具体的な数字は述べることはできませんが高い成長率を2021年の今でも維持しています。
-楽天と比較されることが多いですが、楽天との違いは何でしょうか。
楽天は店舗型マーケットであることが特徴です。楽天は商品を売るにあたって出店している店舗の権威性を高めていかなければなりません。
例えば、Aという商品を販売しようとするときに、Aという商品だけ販売するための動きだけではダメで、A,B,C,D,E,Fという商品を売っている”店舗”としての地位をあげることが重要です。
楽天で売上をあげていくには、例えば店舗への流入を増やすための安い価格の商品を用意し、店舗集客用の商品と、利益を出す商品を分けているショップが多い気がします。
一方Amazonでは、商品単位での勝負になるため、1つの商品ごとに攻略していく必要があります。
簡単に言うと、Amazonの出店のほうが1つの商品単位で見たときには早く売れる確率は高いと言えます。楽天は売れるショップができあがったときには、新商品を販売したときに売れる確率が高いと言えます。
-楽天とAmazonを比較するだけでもノウハウが全然違うのですね。
そうですね。ノウハウが全然違います。
どちらも得意という会社はあまりないのではないでしょうか。どちらもできるといっている会社も、Amazonは自社でやって、楽天に関しては他社に外注している会社もあります。
私はバックグラウンド的にもAmazonに強いです。
競合他社と差別化を図るには
-Amazonではどのようになると売れるのでしょうか。
Amazon内で商品検索をしたときに上に表示されればされるほど売れます。では、どうやったら上位表示されるかというと、売れているものが上位表示されます。
また、それ以外の指標についても重みは違いますが、購入されたという指標以外には、カートに入ったもの、クリックされたものといった行動も上位表示されることにプラスになります。
売れて注目されていけばいくほど売れていく仕組みです。
-GoogleのSEOのようなアルゴリズムは開示されているのでしょうか。
いえ、されていません。検索のアルゴリズムを担当しているチームの一部の人のみが知っているのだと思います。私も知りません。
Amazonの検索アルゴリズムのことはAmazonA9(エーナイン)と呼びますが、このようにしたら上がるのではないかというある程度の予想はできます。また、ロジックは定期的に変化していくので変化に合わせていかなければいけません。
こういったアルゴリズムになりましたといった具体的な変化はAmazonの人間でも分かりませんので社内の人間であっても最新動向をキャッチアップしなければなりません。
Googleの検索アルゴリズムと同じようなものではないでしょうか。
-ShopifyやECforceといったサービスで自社モールを構えている会社が売上を拡大しようとAmazon進出を考えるときに注意すべき点は何でしょうか。
Amazonで重要な点は売上を伸ばすためにショップ単位ではなく商品単位でフォーカスすべきということです。
すでに売れているものを出店したからといってAmazonで売れるほど単純ではありません。
Amazonでは、ASIN(エーシン)という単位で商品販売を行いますが、Amazonで勝つためにはASINの単位で販売戦略を考えて、勝つASINを作っていくことが重要です。
他のモールでたくさん売れている商品グループをもっていたとしても、ただ出店するだけは勝てないので、Amazon内で勝つASIN作りを第一歩の施策としてとらえるとよいでしょう。
Amazonを活用した戦略的マーケティング
-Amazonで売れるためには他にすべきことはありますでしょうか。
ユーザーが検索したときにAmazon内で1ページ目、最低でも2ページ目にこないと売れません。そのため、先程述べたAmazon内でのSEOつまりAmazon A9の理解とそれにあわせた販売が重要になってきます。
-昨今だと競争が厳しいように思いますがどのようにしていくとよいのでしょうか。
商品クオリティ、価格、機能といった点を含め色々な項目がありますが、何か強みがあることが重要です。
逆に競合に優位性がなければ売れることはありません。
-有名でないブランドがこれからAmazonに進出しても勝てないのではと思ってしまいますがどうでしょうか。
そんなことはないと思います。AmazonというECサイト自体がまだまだ成長していますし、ユーザー数も増え続けています。
成長しているECプラットフォームであるため出店者数はこれからも増えていきますのでチャンスはあるはずです。
大前提としては、商品がよくないと売れないことは間違いないです。そのうえでAmazon内でのマーケット分析を行っていくことが重要です。
-Amazon内でのマーケット分析とはどのようにしていくのでしょうか
例えば2020年を見てみると、巣ごもり需要によってフィットネスバイクが売れていました。
これまで手軽なフィットネスバイクがなかったということで、手軽につかえて使用感がよさそうなフィットネスバイクを販売することで売れました。
売れそうな環境を分析して、その分析に合わせて商品を販売していけば売ることができます。
-使用感を伝えるのは難しいと思いますがどのように伝えたらよいのでしょうか。
商品販売のトップページに7枚の写真をいれることができます。わかりやすい写真があるかどうかで売上が変わってきます。
また、昔から参入しているセラーの一部は動画を1つ入れることができますので有利です。最近参入したセラーではこういった機能は使用できないです。
-競合分析は具体的にどのようにしていったらよいのでしょうか。
売りたい商品と、その商品を購入するときにユーザーが検索するであろう検索キーワードを予測してください。
検索してみると様々な商品が表示されると思います。検索結果の1ページ目を見てみましょう。
例えば売れ筋の商品が1,000円前後の商品ばかりのなかに、3,000円の商品が少し並んでいる、かつ自社の商品と比較した際に勝てる要素があるとしたら、商品が売れる可能性があります。
3,000円の商品が全くランキングに入ってないとなると市場が全くないかもしれませんが、1つでも並んでいたら可能性はあります。1,000円の商品に比べてどのような価値を付与したら3,000円で売ることができるかを考える必要があります。
1,000円で販売している事業者が気づいてない機能や売り方があるはずなので既存の販売会社に勝てるものを考えていきます。
社員が分析するAmazon市場
-失敗していく事業者もあると思いますが、どういった理由で失敗していますか。
Amazonで売る際はAmazonのマーケットを理解した上で商品開発をする必要があります。
Amazonは購入者が多く、マーケット層が異なってきます。
大抵のブランドは商品を知らない人の方が多いなかで売っていくのがAmazonです。
そのブランドを知らない人が商品ページを訪れたときに購入してくれなければAmazonの検索ロジックで評価されなくなります。
-Amazon内での広告活用は重要なのでしょうか。
重要です。Amazon内で商品検索をすると「スポンサー」という文字が表示されていますが、そのスポンサーと書かれているものが広告によって表示されている商品です。
電化製品など中国で作るものは価格面でまず優位性を出すことは厳しいです。イヤフォン系も価格の時点で勝負が難しいように思います。
一方で中国の業者や中国OEMによって戦われていない市場であればまだ参入の可能性があるといえます。
D2CがAmazonに参入する際の注意点
-定期通販型のD2CがAmazonに進出するメリットはありますでしょうか。
あります。やはり購入者数自体が大きい市場に入っていくのはメリットがあります。一方スキンケア系の商品でAmazonというプラットフォームで勝っていくのは非常に難しいのではないでしょうか。
大手メーカーが莫大な投資金額をかけて広告を売っている市場で戦うのは難易度が非常に高いと思います。
-定期購入がAmazonでもできますが定期購入のビジネスモデルの導入はいかがでしょうか。
定期購入型モデルで戦っていくのは厳しいと思います。
割引金額も事業者側で設定できないですし、昨今のD2Cのように初回購入のユーザーを獲得するためのコストが1万円以上といった戦い方では難しい気がします。
一方でAmazonの広告は実際に使ってみないと分からないので、出稿してみて、コンバージョン率がどれくらいか、1クリックあたりの単価がどれくらいになるかを見ながら、利益がでるかを見ていき調整していきます。
-Amazonはレビューが問題になっていますが、裏をかくような方法はあるのでしょうか。
年々厳しくなっているのでレビューのステマ(ステルスマーケティング)を行なうのは規約違反になりますし、おすすめできません。
例えば、最近でもレビューをしてくれたらAmazonギフト券を配布しますという施策をやっている事業者がありますが、競合他社がAmazon社に通報したらアカウント停止になることがあります。
一方で、Amazon Vine(バイン) 先取りプログラムというのがあり、Vineプログラムになれば、先にサンプリングができるため口コミを規約にのっとった形で増やすことができます。
Amazonとしても、レビュー実績のあるユーザーに書いてもらえるので双方にメリットがあります。
Amazonではステマのクチコミを取り締まっているものの、一定数あることは認識しているので、良質な口コミをたくさん作ることでステマの口コミ割合を薄めていく対策をとっています。
直近でも有名なセラーがAmazonでアカウントごと停止をくらう措置をうけたので、Amazon内でグレーなことをするのはやめたほうがよいでしょう。
-AmazonでVineプログラムに選ばれるにはどうしたらよいのでしょうか。
具体的にこうなればよいという基準は公開されていないので分かりません。
分かっているところでいくと強いブランドを作っていくことが大事です。Amazon内で売れる太いASINを作っていけばいずれは選ばれるかもしれません。
-Amazonで売りやすい商品、売れにくい商品はありますでしょうか。
新規で売りにくいのはAnkerなどが昨今有名な電化製品などです。
ファッションはAmazonのカテゴリ内ではあまり人気がないですが、大手がいないので可能性はあると思います。
ベビー用品など、子供関係のものに関してはユーザーの知らないブランドのものは買われにくいので、新規の会社では売れにくいかもしれません。
化粧品も同様です。一度ドラッグストアで購入したもののリピートとしては購入されるので有名メーカーのものは買われますが新規参入の会社だと売れにくいかもしれません。
加えて、Amazonは自社ブランドを展開しています。水などはじめAmazonブランドで販売するカテゴリが増えてきています。
Amazonが販売しているカテゴリで戦っていくのはやや難易度が高いかもしれません。
-Amazonで売りやすい商品、売れにくい商品はありますでしょうか。
リソースに限りがあるので、全てのカテゴリで参入するのは難しいでしょう。
アメリカではAmazon独自ブランドで販売していて、日本でまだ販売していないものも多くあります。アメリカにすでにある独自ブランドは日本にも参入する可能性があるので、そうしたカテゴリで参入するのは避けたほうがいいかもしれません。
-Amazonが今後すべてのカテゴリに参入してきたら勝てなくなってしまうのではないでしょうか。
リソースに限りがあるので、全てのカテゴリで参入するのは難しいでしょう。
アメリカではAmazon独自ブランドで販売していて、日本でまだ販売していないものも多くあります。アメリカにすでにある独自ブランドは日本にも参入する可能性があるので、そうしたカテゴリで参入するのは避けたほうがいいかもしれません。
-Amazonで商品を売り始めたときに対策しておくべきことは何でしょうか。
Amazonは新しい商品はAmazonの検索アルゴリズムにおいて、上位に表示されやすくなっていきます。徐々に改善しながら順位があがっていくのは難しいでしょう。
そのため、最初から本気でやっていかないといけません。最初から広告を出して、販売していくことが重要です。
販売前にマーケット調査して、どういうキーワードで戦うかが重要です。
-Amazon支援業者はたくさんいますが選び方にコツがありますか。
初期費用を大きめにとっていく会社は避けた方がいいでしょう。売上連動で利益をとっていく会社のほうが個人的にいい気がします。
固定費で結構な金額をとっていく業者だと売上が出なかったら、業者への支払いで赤字になってしまいます。
そもそも商品を作り始める前に、Amazon販売支援業者に相談にいくことをおすすめします。
-ありがとうございました。
編集後記
Amazonに詳しい方にAmazonで商品を売っていくノウハウについて教えていただきました。
Amazonに限らずですが、各プラットフォームに応じた戦略を立てないと成功することはできません。様々な検証によるトライアンドエラーと、プラットフォームのアルゴリズム変化に敏感に対応していくことが求められています。
Amazonは未だに成長しているプラットフォームであるために、参入チャンスも多くあるように感じました。
販売前、販売後問わず、Amazonの売上を伸ばす支援をしているとのことだったのでもし興味ある方は下記フォームからご連絡ください。
今回インタビューにお答えいただいた方からご連絡いたします。