D2C分析

Nオーガニック:デジタル戦略からマス化へ~サイバーエージェントD2C

D2C界において近年できたブランドで成功しているものとして名があがるのはN organic(Nオーガニック)でしょう。

N organic 公式ページ

N organic(Nオーガニック)はサイバーエージェントの子会社である株式会社シロクによって運営されているブランドです。

N organic(Nオーガニック)の成長戦略

N organic(Nオーガニック)の正確な発売時期はわかりませんが恐らく2017年5月頃から発売されたブランドと思われます。

最初は化粧水や乳液から販売をはじめ、WEB広告を中心とした販売戦略をとっていました。

引用:N organic 公式ページ

その後は小売店に展開し、現在はロフトなどで購入することができます。SKU(商品数)も徐々にではありますが拡大しています。

N organic アットコスメ

N organic(Nオーガニック)の運営企業

N organic(Nオーガニック)はサイバーエージェントの子会社であるシロクが運営していますが、サイバーエージェントの新規事業ではなく買収した企業です。

サイバーエージェントの内定者が経営していた企業ごと買収し、そのままサイバーエージェントに全員入社したという経緯があります。

当初はMy365というアプリを運営していました。My365は1日に1枚だけ写真をアップロードできるというアプリで、日本ではInstagramよりも流行していたアプリでした。

その後写真アプリ市場はInstagramが獲得していき、現在は写真のみならず動画や写真と動画の中間であるStory機能のような市場が勃興し、写真アプリだったMy365はサービスをクローズしています。

その後、複数の事業を展開しながら、N organic(Nオーガニック)をリリースし爆発的な成長をとげています。シロクの飯塚社長はマッチングアプリのタップルなどの運営をする子会社の社長も兼務しつつ、サイバーエージェント本体の執行役に選ばれています。

新卒からの生え抜きが活躍している企業と言えます。また複数の事業で成功していることからWEBを基軸に他領域に事業展開できる可能性を秘めているといえます。

マス展開に成功している数少ない事例

N organic(Nオーガニック)は、利益ベースで決算情報から6億円を超えていることから売上ベースでもかなりの規模にいっていることがわかります。

株式会社シロカ決算情報

D2Cは売上10億円~30億円で停滞しがちですが、この規模を超えていった理由として大きいのは、マス展開をしていったからではないかと考えています。

具体的にはテレビCMを活用したマーケティング活動、他には小売店への展開、ポップアップストアの活用など王道戦略に移行しています。

WEB上での戦略が最初にうまくいったからではありますが、連続的に成長する仕掛けを常にしているように思います。

WEB広告による獲得単価が低かったころに参入し、独自のWEB運用ノウハウを活用した成長戦略が見事にはまっていたのでタイミングもよかったのではないかと考えています。

ベネフィットの訴求が分かりやすいわけではない

N organic(Nオーガニック)が個人的によいなと思う点は、コンプレックス解消商材ではない点です。ありきたりなどこにでもありそうな商品でありながらうまく大きな市場に入り込んでいっています。

引用:N organic 公式ページ

オーガニック市場が伸びていたタイミングとも重なっているため、時流にのったのがうまいといえます。時流をとらえるのがうまいサイバーエージェントの良さがでている気がします。

また、上場企業であるので薬機法もかなり遵守しているように、販売サイトを見ていると感じました。

訴求も何かが劇的に変わるといった感じのやり方ではなく、一般的な美容液や化粧水の訴求と似ています。それでも売上がしっかりでているのがすごい点ですね。

アフィリエイトも全くしていないわけではありませんが、現在は自社のリスティング運用やリマーケティングと店舗販売による売上がほとんどではないでしょうか。

ネット広告からの展開

ネット広告からいち早く脱却した成功例といえます。通常であれば、テレビCMは博打ともいわれ、失敗したら二度とテレビ広告をしないという会社も多いのですが、テレビ広告をうまく活用して成功したのがN organic(Nオーガニック)です。

インターネット広告からマス広告への転換は経営者やマーケターが苦労するポイントで外部のアドバイサーをうまく活用することが重要になってきます。もしくはマス広告の経験者を採用することが必要になってきます。

テレビ広告はキャッシュフローも一時的に悪くなりますし、資金繰りも重要になってきます。

小売店ビジネスの覇者になれるか

ロフトを中心とした小売店でも売れています。テレビCMを活用したことによって営業もやりやすくなったと言われています。

小売店をさらに拡大し、将来的にはドラッグストアの多くに配架されるようになるとマスブランドとなっていく可能性があるのではないでしょうか。

小売は丸井やロフトといったD2Cを扱う店舗は多いですが、店舗数に限りはありますし、地方には店舗がないので購入層に限りがでてしまいます。その意味でドラッグストアへの配架はマスブランドになるために必須といえます。

EC上のみで展開する会社から店舗展開もうまくやっているので可能性はあるでしょう。

直営店も経営

直営店も展開しはじめたN organic(Nオーガニック)です。直営店はコストがかかりますが、新商品を置くこともできますので、テストの場としては最適です。

通常の小売店であれば、新商品を置こうとすると各店舗と話す必要があり、工数がかかってしまいます。直営店であれば自由にできるのがメリットがあります。

直営店は利益目的というよりも、プロモーションの場として活用されることが多いでしょう。

N organic 直営店

サイバーエージェント全体から見ると業績は軽微

ちなみにN organic(Nオーガニック)は100億円以上の売上と言われることもありますが、サイバーエージェントにとっては、売上、利益ベースで考えてもわずかな割合しか占めません。

サイバーエージェントはゲーム事業の利益率が大幅によいので、在庫を抱えるD2C事業は利益での貢献度は決して多いとはいえないでしょう。

一方でD2C業界ではN organic(Nオーガニック)はかなり大きな事業ですので業界的に注目されています。

インターネット広告が元々の事業ですので利益率が高くない事業は社内ではあまり注目されづらいというのはある程度理解できます。

薬機法規制時代の勝者に向けて

これから、薬機法の規制が厳しくなってきたので多くのD2C事業者は苦戦すると思います。N organic(Nオーガニック)はいち早く、マス広告に切り替えクリーンな販売方法に切り替えたので今後の伸びしろが大きくあるのではないでしょうか。

薬機法による取りまりが緩かった時代に伸びたブランドでその後クリーン路線にきりかえて成功したブランド、一方でクリーン路線にいかずギリギリをせめたままの会社に分かれます。

ギリギリをせめつづけている会社は長くはもたないでしょう。

SKUとカテゴリ増加が予想される

N organic(Nオーガニック)は今後も成長が予想されます。特にSKUとカテゴリを増やして色々なジャンルに進出していく可能性は今後も考えられます。

さらに大きな事業となり1000億円事業となる可能性もあるでしょう。